「重症化しやすい高齢者や持病のある方は十分に気を付けて!」今まで言われ続けていたことだが、この重症化に、それだけではない新たな原因が発見されつつある。
それが、PM2.5である。近年世界的に問題視されている空気汚染の原因がこれ。PM2.5は今や空気汚染の代名詞になっているワードだが、実はこのPM2.5が新型コロナウィルスの体内進入を手助けするということが分かってきたのだ。
新型コロナウィルスの死亡数を調べたところ、高齢者や持病のある方以外に、空気汚染の激しい地域に死亡数が多く見られている。それはなぜなのか? 京大研究チームよって発表された。
新型コロナウィルス罹患の構造として、新型コロナウィルスが肺に進入する場合、必要となるのが、ウィルスが付着するタンパク質(ACE2)と細胞に入り込むのに使用する酵素(TMPRSS2)なのだが、実験によると、このPM2.5が肺組織の、この2つの必要素を増加させるという結果がでたのだ。
ということは、空気汚染の激しい地域で、空気中の微粒子(PM2.5)などを吸い込み、それが肺表面に付着などしていた場合、ACE2とTMPRSS2 が増加し、新型コロナウィルスが肺内部に進入しやすくなるということになる。マウスで行われた実験では、マウスの肺にPM2.5を注入後、ACE2とTMPRSS2の増加量が数十倍にもなったという。コロナウィルスはそのまま肺で重症化しやすくなるというのだ。
それでは、大気汚染が激しい故にたまたま発見された新型コロナウィルスが流行していったのか?
中国武漢では、2019年12月の新型コロナウィルス発見後、武漢封鎖が行われた。ご存知の通り、中国での大気汚染は激しく首都・北京に於いては汚染により空気が濁り、数メートル先が目視できないという状況もあるという。
そんな武漢が新型コロナウィルスの震源地・感染流行となって封鎖された後、人工衛星で撮影された大気汚染度合い写真では、凄まじい色の変化が起こっている。交通渋滞がなくなった武漢は重大な大気汚染を示す真っ赤な場所からクリーンな緑色へと変化した。武漢は封鎖後、感染者が減少し、現在、武漢市民は以前と何ら遜色のない密な生活を送っているそうだ。
しかし、封鎖が解除されたら、いずれの土地にせよ、人の出入りが激しくなり車両の往来も再び増えていくであろう。そうなるとまた、PM2.5が増加していき、すでに人間界に存在感を現した新型コロナウィルスの活動が活発化して行くのではないだろうか。ワクチンに対抗してウィルスもどんどん変化しているのと同様、人類が進化していけばいくほど、人類はもろく弱くなっていくのかもしれない。
卵とニワトリのような堂々巡りである。もちろん、大気汚染だけが原因ではないので、ワクチン開発もなされている現在、新型コロナウィルスの脅威は次第に衰えていくのだろうが、罹患する必要条件は、人間界に常に存在しているということになる。