抗体X抗体 「カクテル療法」が新型コロナウィルスに効く!!

新型コロナウィルスが世界的に感染拡大を広げていく中、新しい医療ワードや言葉を耳にする機会が増えていると思う。「抗体」から生み出される「カクテル療法」というのが今回の新しいワードだ。

よく聞く言葉に「抗体」というものがあるが、ほとんどの病気の場合、この「抗体」が我々の身体を病気から守ってくれる大切なものである。調べると「抗体」とは、「病原菌などが体内に侵入した場合、それと特異的に反応する物質として体内に生ずるもの、免疫のもと」とある。病気にかかり完治すると、体内にその病原菌の抗体ができる。しばしばこれらがワクチンとして使用されるのであるが、現在、新型コロナウィルスに罹患し治癒した場合にも、この抗体が、体内にできるはずである。

抗体には種類がある。「ポリクローナル抗体」は、動物の血清からつくられるもので、複数のB細胞(免疫細胞)が抗原に対応する。それに対して「モノクローナル抗体」は1種類のB細胞からつくられるものであり、それは1種類の抗原に対してピンポイント的に効果があるというものである。もちろんどちらにも、長所短所はあるが、「ポリクローナル抗体」は守備範囲も広く、「モノクローナル抗体」は専門的と言ったらよいだろうか。

米製薬会社イーライリリーの発表によると、今回有益であるとされた治療法は、2種類のモノクローナル抗体を併用するもので、新型コロナウィルス罹患患者のウィルスレベルを下げるのに有効だという。この治療法は2種類の抗体を混ぜる(併用する)ことから、「カクテル療法」とよばれているそうだ。モノクローナル抗体は新型コロナウィルスに有効であるとして、すでに多くの学者が研究を重ねている。その単体でも有効がささやかれているモノクローナル抗体を、今回は「カクテル」するのである。それはそれは効き目があるかもしれない。

今回の臨床試験は、新型コロナウィルスに対する治療薬として開発された2種類「LY-CoV555」と「LY-CoV016」を同時に投与する、いわゆる「カクテル療法」だ。対象患者は開始時点で入院をしていない112人である。その結果、「カクテル療法」を受けた患者は、3日目で症状も改善緩和され、入院やICU(救急救命室)に入る割合も減少した。イーライリリー社によると、モノクローナル抗体治療薬による副作用は少なく、この治療薬の有益、有効性などについては、多くの話し合いが行われているらしい。

2種類のモノクローナル抗体治療薬を使用する「カクテル療法」。この臨床試験結果は、先に発表されたバイオテクノロジー企業のリジェネロンの臨床試験結果とも一致することから、信憑性は高そうだ。

副作用もない、有益な治療薬としたら、とにかくこれは嬉しい限り、暗闇に差し込む一条の光だ。先ごろ、新型コロナウィルス罹患が発表されたドランプ大統領の治療にも、やはり「カクテル療法」が行われていたようだ。もちろん、現在でも大統領の治療は継続していると思われるが、彼の治癒の早さをみれば、この「抗体カクテル」、何らかの効果はあるようだ。

本来なら、美味なるお酒のカクテルを飲んで酔いたいところではあるが、こちらの「抗体カクテル」は頂かないよう、十二分に新型コロナウィルスの感染予防に努めようではないか。