現在、新型コロナウィルスのワクチンをめぐり、多くの製薬会社が研究や臨床試験などをしている最中であるが、一日でも早くワクチン使用にこぎつけるため、日本政府はどうやら企業側の賠償責任などを免除する方針のようだ。
どんなワクチンでも、いや、どんな新薬でも、臨床試験まで行い、製薬として発売(使用)されるまで、特に臨床試験などにおいては、なにか健康被害が生じた場合の賠償責任などが決められているのが普通だ。いくら希望したとは言え、未知の薬に身体を用いて試験するのだから、被験者と言えどもある程度の覚悟は必要だろう。そういった場合には、この賠償責任が非常に重要になってくる。これは、あらゆる製薬でも必要となってくるものだ。
が、26日に行われた会見では、政府の新型コロナウィルスのワクチンに対し免責法案の必要性が述べられた。実質的には10月以降の時期国会に関連法が提案され討論される見通しだが、官邸内でも「当然必要だろう」という主旨の見解があるという。
新型コロナウィルスのワクチンに対しては、世界中からの需要が非常に多く、一日も早い実用化が望まれている。通常の過程や手順を行っていては、時間がかかり過ぎるということだ。
まず考えられる良い点から言うと、手順や手続きの簡略化により、ワクチンの早期実用化が期待されるところ。読んで字のごとく真ん中にあった煩雑さや面倒だった手続きが簡略されるから、とてもスムーズになる。これは、日本国内では、今回だけに限らずもう少し見直されるべき点ではないだろうか。ダイヤモンドプリンセス号の時といい、だれが責任をとるのかという点で遅れた措置もあったと聞く。そう考えると、十分に動きがとりやすくなるシステムとして歓迎されるべきだろう。
しかし、次にいじわるく悪い点を言うと、この簡略化、免責システムによって、臨床試験が軽んじられるかもしれないというところだ。もちろん、健康被害があった場合には救済措置は政府が行うようになっているそうだが、そのため、企業側としての臨床試験への心構えも大切になってくる。この法案は、新型コロナウィルスに関してのみ、適用されるようではあるが、早くワクチンを開発したいという気持ちと責任とはバランスがとりにくくなる場合もあるのではないだろうか。ワクチンには、ウィルスの遺伝情報を用いるなど新タイプのものもあるため、予期しない被害が起こりうることも懸念されている。
新型コロナウィルスのワクチンは、本当に世界中が待ち望んでいるものだ、と思う。みんな、喉から手が出るほど、ほしがっているものだろう。そんな中、安倍首相辞任というニュースが今日は飛び交っているが、どうか、日本政府としては、引き続きコロナ対策に注力していってもらいたい。