米ブルームバーグ通信によると、台湾は4月12日以来いままで、200日間連続で新型コロナウィルス感染者を出してないという。台湾の国内感染者は累積感染者数550人、死者7人であり、他国とは比べ物にならないほど、少ない。
台湾の人口は2300万人、同程度の人口だとオーストラリアの約2500万人になる。形態も規模は違えど、島国という特徴があり、しかも台湾はオーストラリアと違い住宅の密集度もかなり高い。そうした新型コロナウィルス感染予防には難があるような状況において、この数字はある意味とても脅威的だと言ってもいいだろう。
オーストラリアの感染症専門家曰く「台湾は、新型コロナウィルスの地域社会拡散を断ち切った唯一の主要国家だ」と称えている。オーストラリアの累計感染者数は、約27500万人で台湾の50倍にもなる。オーストラリアからしてみれば、かなり脅威的にみえるのだろう。
台湾がこの記録を維持している理由として挙げられるのが、まず厳しいまでの接触者追跡やテクノロジー技術を駆使した検疫・隔離措置、マスク配布方法などである。これによって、新型コロナウィルスを徹底的に把握することができている。次に考えられるのが、早々の入境禁止措置など、他国との断ち切りに関して決断が早かったこと。とにかく、新型コロナウィルスを入れることを許さず、国内で発生している新型コロナウィルスを壊滅することを徹底した。結果、台湾は全世界から注目されるまでの新型コロナウィルス抑制国として認められるようになった。先進的な技術と原始的な方法を組み合わせて、見事なまでの押さえ込みに成功したのだろう。加えて、台湾国民は、SARS(重症急性呼吸器症候群)という苦い経験をしている。マスク着用の有益を身をもって知っている。すべての行動がプラスに回り、この結果をもたらしたのだろう。
実際、他国を見ると、この「先進的な技術」、「原始的な方法(入境封鎖など)」、「市民、国民の対策意識の高さ(特にマスク着用の有益性を認めていること)」のどれかひとつがなされていないように思われる。ヨーロッパ諸国では、感染者数の増加が見られ、更なる新型コロナウィルスの波が来るのではないかとささやかれている。これまでの欧米諸国での対策は、この3つをひとつづつやっているようなものだから、一部分を抑えたように見えても、また別の部分で顔をだしてくる。感染症対策には、この3つのコンビネーションが大切なのだが、現在の時点では、まだ台湾ほどの成果をだしている国はみあたらない。
徹底的な対策により、台湾政府は2020年のGDP(国内総生産)においても1.56%の増加を見込んでいる。徹底した対策をしたために、いちはやく苦境を乗り越え、その苦境を経済成長に転じている。わかっているようで、誰しもがやれていないことだ。今回の新型コロナウィルス対策で、台湾は全世界にその存在感を確実に残した。
今朝のニュースでは、中国の開発した新型コロナウィルス感染症のワクチンが最終臨床試験を行っていて、6万人もの人に接種したが副作用など不具合は見られないので、年内に向けての使用を検討しているといっていた。また、日本では来年のオリンピックを見越し、来春から渡航国家や隔離期間などの検討にはいっている。新型コロナウィルスが発生してから、そろそろ1年。新型コロナウィルス対策は、すでに次のステージにはいっている。