ロシア、8月に続き新ワクチン承認するもまた臨床試験無し?

14日、ロシア・プーチン大統領は、新型コロナウィルスに対する新たなワクチンを承認したらしい。ロシアの新型コロナウィルスに対する新ワクチン承認は、8月に続き2度目になる。

前回(第1例目)のロシア国産ワクチンは「スプートニクV」と呼ばれている。この「スプートニクV」に関しても、プーチン大統領は、最終段階の臨床試験を省き承認している。ワクチンなどに伴う臨床試験は、世界的に求められているものであり、いずれの国、いずれの国民、いわゆる人類に損害のないように、その安全性を最終的に確認するものだ。

先日のニュースでも、英アストロゼネカ社が臨床試験段階で、ワクチンの副作用とみられる症状を確認。新型コロナウィルスのワクチンは最終段階で暗礁に乗り上げた。それを受けて日本で行われるはずだった同社のワクチン臨床試験も中止せざるを得なくなった。

それほど、この最終段階での臨床試験は、人間の生命を守るために大切なもののはずだ。

今回のロシアのワクチンは「エピワクコロナ」というらしい。ロシア国立ウィルス学・生物工学研究センターが開発したもので、アレルギー反応が起こりにくいというのが特徴らしい。そのため高齢者などに対する安全性が高いとしている。それでも、臨床試験無しに高齢者などに接種しても、いいのかどうか?と思うのだが。

実際、自分がそのワクチンを接種するとして考えてみると、臨床試験無しの新しい薬やワクチンを使用するとなると、やはり二の足を踏むような気がする。どうなんだろうか?

「新型コロナウィルスのワクチン」を制したものが世界を制す。

現在、世界中で躍起になってこのワクチン研究が行われているが、ロシア、中国においては、最終段階の臨床試験を省く傾向にあるようだ。

中国シノファームが開発したワクチンは、アラブ首長国連邦などですでに治験(臨床試験)済とし、まだ治験が完了していない段階で、市民数万人に緊急接種するとしていた。中国政府は、接種者数などを明らかにしていないが、数万人とみられている。接種者に副作用や新型コロナウィルスの症状はでていないとしているが、世界各国、専門家たちからはその安全性について問題提議がされている。

ロシアの第1例である「スプートニクV」は、4万人への臨床試験と並行して、医者や教員などの高感染リスク者に対して接種を行っているところだ。プーチン大統領が承認を急いだりしている背景には、9月以降、さらに増加している新型コロナウィルス感染者だ。すでにロシアのコロナ患者病床の75%が埋まっているとのこと。昨日(14日)の感染者は1万4231人で、ロシア過去最高の感染者数だったそうだ。それらのことも踏まえて、プーチン大統領は、「エピワクコロナ」の臨床試験省略に踏み切ったのだろうが、安全性が不確かなワクチンで、副作用がでては元も子もない。

新型コロナウィルスを抑えるワクチンは喉から手が出るほど欲しい。欲しいが、大切なものはそこに絡まる利権や覇権ではなく、患者、人間の生命である。どうか、臨床試験の大切さをもう一度見直してほしい。