東京高検検事長(すでに辞任)の黒川氏が、
賭けマージャンに興じるニュースが流れたのが先週5月20日。
翌日21日には、このニュースをうけて黒川氏は辞任した。
「賭けマージャンに興じる」こと自体が、
法を司る立場にあって、あるまじき行為であるとともに、
今回、賭けマージャンが行われていたのが、5月1日。
小池都知事が、ステイホームとして外出自粛を呼びかけ、
安倍首相が、人との接触を8割減として、緊急事態宣言の下で行われていた。
ご存じの通り、麻雀は4人がひとつの雀卓を囲んでするのが基本。
ソーシャルディスタンスなど無きに等しい密な状態で、ゲームに興ずる。
まさに3密状態以上に密な状況だろう。
ともに雀卓を囲んでいたのは、産経と朝日の新聞記者。
どちらからかのリークによるすっぱ抜きなのは一目瞭然、今日の友は明日の敵である。
黒川氏のギャンブル好きは、周知の事実であり、
賭けマージャンには今回だけでなく、
先の新聞記者たちとともに数回に渡り行っていたという。
外出自粛中の国民の注目が一気にこの話題に注がれた。
緊急事態宣言下の不適切行為は「賭けマージャン」だっただけに、
黒川氏の出方が注目されたが、案の定、辞任提出。
法務省は事実確認の上、受理し首相官邸に報告した。
法務省も国家公務員法に基づく懲戒が相当と考えていたが、
官邸がそれを覆し、黒川氏は訓告処分に。
安倍首相は、国会で
「適切に処分を行った」と繰り返すのみの答弁だ。
訓告は、法的に処分にならない軽い処置。
そのため、減給にはならず、黒川氏の退職金は満額支払われる見込みだ。
官邸と黒川氏の蜜月は、
「官邸の守護神」と呼ばれていたころも、
警察庁法改正案が提出されたころも、クローズアップされたことだったが、
今回の「訓告処分」でそれがはっきりと裏づけされたということだろう。
官邸と黒川氏の密な状態もさることながら、
いわゆる番記者制度にも、注目が集まる。
黒川氏と賭けマージャンを行っていた新聞記者たちは、
「黒川番」と言われる番記者だったのだろう。
彼らはスクープ、裏づけをとるために、黒川氏と懇ろになる。
需要と供給が一致した利害で結ばれた関係だ。
官邸や行政が3密を避けるよう指示し、
緊急事態宣言までだしたこのコロナ禍にあって、
官邸自身、黒川氏、そして一部メディアとの旧式な密状態が露呈した。
現在は、「情報(光陰ではない)、矢の如し」。
SNSの力を侮ってはいけない。
今までは、国民の意見は、なかなか行動や実行に移すことができなかったが、
SNSの普及とともに、現在では多くの意見がひとつの力となって現れる。
現在、政権が良しとする旧体制のままでは、やっていけなくなる。
何等かの改革が必要とされる時であろう。